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ふるさとの木によるふるさとの森づくり(2)

《横浜国立大学学術情報リポジトリ》のwebサイトに置かれている宮脇昭さん他二名の方による報文《ふるさとの木によるふるさとの森づくり》を読んでみると、宮脇方式の植栽について、これまで私の眼に触れたなかでは最も詳細なコンテンツを備えている内容のものであることが分かります。宮脇さんに習って森の再生を試みる人にとっては、この報文は願ったり叶ったりの宝物にも匹敵するような価値を持っているようです。さっそく第二回目はその「手法」をおさらいしてみましょう。

なお、文中のイラストは報文に記載のものを私がなぞったものです。一部、グリーンの囲み罫内のイラストは以前にこの備忘録で使ったものの再使用なのですが、これらは宮脇さんの著作『苗木三000万本 いのちの森を生む』(宮脇昭著 NHK出版 2006年)のp174〜197に掲載の写真をイラスト化したものです。詳細については同書に目を通されることをおススメします。

4.手法

01)植林地の植生調査により、潜在自然植生を把握し、高木樹種(主木)を選定。
※主木の候補は、関東以南ではシイ・タブ・カシ類の常緑広葉樹。関東以北だとブナ・ミズナラなど落葉広葉樹。


02)
選定された樹種の種子を集め。苗床に播種する。


fig43
03)
発芽後2~6葉ほど開葉した幼苗を発芽床からポットに移植する。
※自然林内の主木周辺の林床にある実生の幼苗を採取し、ポットに移植することも可能。この場合は高さ10~20cmのものを選別すると生存率が高くなる。fig45

fig5
04)
苗木の背丈が30~50cm、5~8葉程度で、根がポットのなかで満遍なく充満した苗木を植栽する。

fig44
05)
植栽地の土壌:(土壌が悪い場合)有機質に富んだ表土を厚さ20~30cmほど還元する、または有機物を混ぜて耕転する。

06)急傾斜地や渓谷部:表土の流亡と浸蝕を防ぐため、木杭、編棚、粗朶(そだ:切り捨てられた枝、焚き物にする枝)などで土留め工事を施す。

07)平坦地:(水はけの悪い場合)マウンドを造成する。

fig708)植栽は多くの樹種の苗木を混ぜて植え(混植)、線状にではなくランダムに密植する。

09)密植度は1㎡あたり3~4本とする。

10)混植・密植の理由:微気候*を保たせ、競争・共存させ、幼苗の段階から森林の状態を作ることにある。
地面近くの気層の気候。地表面の状態や植物群落などの影響を受けて、細かい気象の差が生じる。

11)幼苗の植栽後は、土壌の浸食を抑え、土の乾燥や雑草の侵入を防止するため、敷藁やこれと同じような有機物(枯葉、枯れ枝などか?)で根囲い を施す。これらは腐食すれば有機養分となる。

12)植栽後1~2年間は必要に応じて除草を行ない、表土が乾燥した場合は適宜(てきぎ)散水する。

13)植栽後3年目からは、基本的に自然の管理(自然淘汰)に任せる。

14)15~20年後には昔その土地にあった、その土地本来の原生林に近い森林の再生が見られ始める。

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