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ポット苗から育てる森、百年後の姿2

植樹から100年後の現在、見事に常緑広葉樹の森に仕上がった明治神宮の森を目標にしながら、丹沢にも同じような森を作ることを夢想する時、いま現にある神宮の森とこれから作ろうとする宮脇昭さんが提唱する手法で作る丹沢の森との比較検討を、いろんな観点から試みてみようというのがこのシリーズです。第一回目の《ポット苗から育てる森、百年後の姿1》では両者の植栽時の樹種を下の表のように比較してみました。

樹種比較

神宮の森も宮脇式丹沢の森も、二つの森のゴールは共に関東以南の太古に栄えた常緑広葉樹の世界ですが、スタート時の樹種も樹高もまったく異なることから、森の完成形に近づくプロセスは前者のほうが10〜20年ほど早くなるようです。また、針葉樹の有無が森の深化のプロセスにどういう影響を及ぼすのか?このあたりは改めてじっくりと考えてみなければと思います。

樹木マップそこで、第二回目の今日は植栽間隔、つまり植樹時の樹と樹の間隔について両者の手法を較べてみましょう。

左の写真は現在の神宮の森の植栽一本一本を地図上に写し込んだものです。地図の方眼紙は1mを最少単位とし、従って太線が5m四方の広さになります。これを見ると、5m四方に1〜2本の樹が配置されているのがわかります。およそ100年前の植栽当初には半数以上を占めたスギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹は今ではわずかに残るだけとなり、そのほとんどが常緑広葉樹の高木、亜高木、低木に替わっていることがうかがえます。

この写真をもとにして現在の神宮の森の植栽樹種を10m×20mの地図上にマッピングしてみました。そして、比較のために宮脇式の植栽法による植樹時の樹種とその配置を示したのが、その下の図になります。

植栽比較図

この二つの植栽図を較べてみると、同じ10m×20mの地図上に配置された樹の数が神宮の森はわずか12本(4m×4m=16㎡に1本の割合)しかないのに対して、宮脇式の昆植・密植による苗木の数はおよそ600本になります。この600本の樹がお互いに競争しながら成長する過程で次第に淘汰され、100年後には神宮の森のようにわずか2%の12本ほどの本数に落ち着くのでしょうか。だとすれば、宮脇式による植樹から10年後、20〜30年後そして50年後の途中の植栽の様子を確認したくなります。(続く)

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