丹沢での植樹事業を進めるための見取り図を作る《エコロジカル・デザイン》の今日は二回目です。
前回に続き、事業をスタートする場合の作業スケジュールを作ってみました。
2.植樹事業スケジュール
上図は樹種の選定から植樹までの作業進行表ですが、樹種の選定や種子の採取からスタートすると、林内に植樹できるのは、36〜48ヶ月後の4年目ということになります。
また、植樹地の環境や条件により、これらを整えるための作業が別途必要になる場合も考える必要があります。主に人工林での伐採、ニホンジカなど大型動物対策としての保護柵の設置が加わってきます。
1)人工林の伐採
人工林を照葉樹林に復元する場合は、人工林を一部残して天然林との混合林に育てる手法と、該当域の人工林をすべて伐採してしまう手法の二通りが考えられます。その環境や人工林の状態によって対応も異なるようですが、ここは、森の専門家に尋ねるのが一番でしょう。
そして伐採についての一番の関心事は、そのコストです。宮脇さんによると、伐採した木は山の斜面を守り、土壌の流出を防ぐためにも角度に平行に横にして置いておくのがいいとのこと。仮に木材市場に出す場合の売値はどのくらいになるのか?調べておく必要があります。
丹沢には人工林の他にも代償植生としての二次林も広く分布しています。薪炭林として定期的な伐採や人為的な干渉下で維持されてきた《クリ—コナラ群集》やブナ林やイヌブナ林が伐採された後に成立した《フクオウソウ—ミズナラ群集》などの夏緑広葉樹二次林や常緑針葉樹二次林、ブナの立ち枯れやシカの食害による偏向還移などによって成立するとされる二次草原などを注意深く観察し、その区域の潜在自然植生を割り出していくことが必要です。
2)保護柵の設置
丹沢大山総合調査学術報告書(2007年)によると、シカの深刻な影響を受けている東丹沢の高標高域の林床植生を守るための保護柵の設置は、その後の経過観察をみると、予想通りの効果を挙げているといいます。他の対策も含めた複合的な試みの一つとして、保護柵の設置も考えておく必要がありますが、これも最大の課題はコスト。フェンスを1m張るといくらかかるのか?調べておく必要があります。