これまで主に常緑広葉樹とそれらを取り巻く樹木について繰り返し記述することで、なるべく頭の中に樹木名だけでもストックしておこうと試みてきました。これが第一段階だとすると(残された時間はあまりないのですが)次のステップでは実際の樹木を観察し、幹や葉のカタチ、花や果実を一見するだけで、樹木名を言い当てるようになる、このレベルまで到達することに目標を置きたいと考えています。
そこでこれからは第二段階の実践過程に入るべく、さっそく近くの公園に行き、常緑広葉樹の枝葉を写真のようにほんの少しだけもらって、いくつかの樹木を採集してきました。
写真左の(a)はアラカシ、右の(b)はシラカシです。二つともブナ科の仲間。左手のアラカシは他のカシ類と較べて葉も大きく長さは7〜15cm、葉の上半部には先端にいくほど鋭くなる鋸歯があるのが特長で、写真でも分かるように、全体的にゴツゴツと荒々しい印象を受けます。この荒々しい状態から「アラカシ」と名付けられたのでしょうか。
右のシラカシの葉は、端正なカタチをした上部には少し鋸歯のある葉身は10〜15cmほどの長さがあります。アカガシに較べて材質が白いことがシラカシの由来といわれています。このa&bは樹木に名札が付いていたため、何の困難もなく樹木名を知ることができ、採集してきた枝葉を横に置いて、樹木図鑑やネット情報で全体的な特長をも簡単に獲得できた訳です。
ところが、同じ公園にある広葉樹でも名札もない以下のc〜eとなると、事情が違ってきます。
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左の©は表面に粉を吹いたような白くなった径が5〜8mmほどの緑色の未熟な実が付いており、この実に加え、他の葉の深緑色に較べると多少ですが、黄緑に偏れているような明るい緑色の少し肉厚の葉の特長を頼りに、図鑑などで調べるのですが、幾つかの候補は挙げることができても、なかなか、コレ!と決定するような樹木は見当たりません。中央の(d)は、大変小さな実と特徴的なカタチの葉を図鑑に見つけようとしたのですが、これもまったくうまくいかないのです。(e)に至っては、葉の先端部分が広く拡がるようなきわめて特徴的なカタチをしており、このわかりやすい特徴を図鑑で探そうとしたのですが、意外と時間を費やしたあげく、見つけることが出来ず、まったくお手上げの状態でした。主要な常緑広葉樹ではなかったのでしょうか!
丹沢もその中に含まれる本州太平洋岸の土地本来の高木のほとんどはシイ・タブノキ・カシ類で占められています。なによりも左の一覧に示した9種類の樹木をまずは頭の中に入れること。
そのためには、アラカシ、シラカシを除いた残り7種類の樹木が、名札と共にある場所を探すことを急いで実行に移すこと。これが今回の正しい結論のようです。