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木を植える!事業計画を考える(1)

事業を始めるにあたっては、一般に事業プランを立案することが最初に求められると言われています。その目的は、事業の検証のためにだったり、出資者や取引先、第三者へのプレゼンテーションのためと様々ですが、最大の目的は《成功する事業を実現する》ことにあるそうです。

事業計画書の目的

もちろん、目指そうとする業態によってもその内容は少し異なってくるようですが、では、ビジネスで丹沢に木を植えよう!とした場合、その事業プランを具体的にどう組み立てるべきか?幸いにもその雛形というものが、世の中にたくさん出回っているようなので、それらを参考にじっくりと構築してみることにします。

事業計画

この図が一般的な事業計画の体系を表したものだそうです。多くの要素が書かれていますが、なかでも重要とされているのは中・短期の行動計画であり、とりわけ最重要なのが長期計画の明確な理念とビジョンであると言われています。《木を植える!事業》の場合は具体的にどんな文言が入ってくるのか?さっそく考えてみましょう。

《木を植える!事業》の短期〈 中期〈 長期の概念

《木を植える!事業》を例えば、次のように定義することにします。

丹沢の森の一角に自分の常緑広葉樹を植え、その木が育つのを見て楽しみたいとする顧客を獲得し、顧客のオーダーに応じた潜在自然植生の樹種の苗木を用意、植樹から成木に成長するまでの樹木の管理を請け負う事業。

樹木の寿命は、残念ながら顧客である人のそれをはるかに超えてしまうために、一応樹木の管理期間を「樹木が自然淘汰に勝ち抜き、ある高みにまで成長するまでの30年間」とします。宮脇昭さんが手がけてきた木を植える!これまでの国内の事例からすると、一般に混植・密植によって植えられた潜在自然植生の樹木は植樹から3〜4年以降は人の管理が不要となり、あとは自然淘汰に任せると、その森の主木となるシイ・タブ・カシ類の常緑広葉樹の高木の場合、10年で10m、20年で20mの割合で成長するといわれています。

従って30年という時間は、植樹までの準備期間を4〜5年とすると植樹から25年後の樹高が20m+αまでに育った頃になります。神奈川県内で実際に観察できる宮脇さん方式の植樹事例でも20年以上経過している林相を見ると、特に高木は幹の太さはそれほどでもないのですが、上に上に成長し枝葉を空間のある方角へと貪欲に伸ばしていることが確認できます。おそらく地下の根茎もしっかりと張り付き、これ以降は、よほどのことがない限り、隣との競争に負けたり、枯れてしまったりすることはないはずです。

《木を植える!事業》の内容を上記(青字の3行)のようなものだとすると、この事業の場合、短期〈 中期〈 長期とはどのような時間で区切るのがより適切なのでしょうか。潜在自然植生のリサーチから始まり、顧客の注文を受け、苗木を用意し植樹するまでの最初の工程を図にすると、以下のようになります。

宮脇式フロー

顧客のオーダーに合わせて種子の収集→播種→ポット苗の育成→植樹→除草・散水管理と続く最初の5〜6年の一連のプロセスを計画通りに進めることが事業全体の中でも最も重要なポイントになります。言葉を変えると、この最初の工程の成果が、この事業の成功の鍵を握っていると言っても過言ではなく、定義付けが必要とされる短期計画の《短期》とは、このプロセスを指すことになります。

毎年、顧客のオーダーに応え、種子の収集から除草・散水管理までの最初の5〜6年を要する一連のプロセスを5〜6年繰り返し続けると、事業の骨格が固まると共にその将来性も具体的に展望可能になってくると思われます。この事業開始後10〜12年かかることになる5事業年度を《中期》とし、最初の顧客の木がある高みにまで成長し、契約期間が終了する30年後までが《長期》の期間になります。この頃には、社会的な評価を含めた事業の成果が明らかになってくると思われます。下にこの概念をそのチャートにしてみました。

短中長期

通常は長期が5〜10年、中期は3〜5年、短期は1年をめどに作るのが一般的なようですが、《木を植える!事業》の場合は、潜在自然植生の種子の採取から始まり、基本的な手入れが不要となるまでの一連の連続した作業に5〜6年を要し、このサイクルを第一ステップと考えているため、かなり長めですが、この期間を短期とすることにしました。

従って中期はもっと長く、手入れが不要になった後の樹木の成長の推移を管理する4〜5年を加えた約10年とします。この期間は短期を5回繰り返すことになり、事業の定着と発展の到達点を設定することになります。更に長期となると、事業開始年度に播種した樹木が20〜30mに成長し、森の基本を形作るようになると共に、契約期間が終了する約30年後を、その期間と考えています。

このようにヒトの世界と比べて、寿命も成長も長くゆったりとした樹木を相手にすると、計画の時系列も伸びてしまうようです。
(続く)

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