人工林を伐採する費用を調べてみる

◎《人工林の伐採後は潜在自然植生を植える》の続きです。

ここではスギ・ヒノキなど針葉樹の伐採コストを調べてみることにします。丹沢を「本物の森」にするには、人工林を伐採し、潜在自然植生の樹種を植え替える作業がどうしても必要になってくる場合があるからです。

そこで最初に、植林された国産スギ・ヒノキの木材価格は一体いくらぐらいなのか?調べてみました。以下に日本の林業の現状を象徴する木材価格と輸入材の価格とを比較したモデル図を示します(金額は全て1㎥当り)。

材木価格
※グラフは国土審議会 持続可能な国土管理専門委員会資料(2006年)より抜粋

この資料は2006年当時のもので、今の為替相場とは変動があるのですが、グラフを見るかぎりでは、輸入材と国産材の価格差は約1.5倍となっており、国は林業補助金(間伐補助金)として1ha当り230,000円などを補填することで、輸入材との競争に備えることを考えているようですが、実際には、補助金を使って木を切り出し、木材メーカーに納めても、山の所有者には何も残らないのが現実のようです。汗水を流して伐採しても、輸入材との価格競争にさらされて、タダ同然で手放すしかなく、手元には何も残らないとなると、仕方なくこのまま木を放置しておこうと言うことになるわけです。

それでは、これらの木材を商品として扱うことを断念し、ゆくゆくは土に戻ってもらうために伐採したままその場に放置する場合の伐採コストはどうなるのでしょうか。上の国土審議会の資料によると、採算ラインとして「一人が一日30本を150,000円で」という金額を挙げています(造材や抜根は除く)。つまり一本あたり5,000円ということになります。もちろん、伐採する場所や作業の難易度により実際の現場では金額が変わってくると思われますが、この他にもウェブサイト上に掲載されている幾つかの実例を紹介しておきます。

a)1haの広さに植林したスギ450本の買い取り価格が約100万円(2,200円/1本)
b)300坪(約1ha)の20〜30年のスギ林を伐採+抜根で約350万円
c)3,000坪の植林を伐採+抜根で1本当り10,000〜20,000円

これらいくつかのサンプルを並べてみると、一見バラバラに見えますが、a)の場合は安く買って高く売る木材業者が間に入っていることを考えると妥当な数字のように思われます。また、残りの二例は抜根作業が付いているため、高く見えますが、b)の場合は仮にa)と同様に450本とすると約7,800円/1本です。おそらく抜根料を除く伐採だけだと半分の約4,000円/1本ほどでしょうか。c)も伐採のみだとおよそ5,000円〜/1本となり、最初の「一人が一日30本を150,000円」つまり一本あたり5,000円という数字とほぼ変わらないことになります。

いずれにしても、丹沢の森を《宮脇方式》で潜在自然植生の森に再生するためには、人工林、二次林の伐採は避けては通れない課題だと思われ、金額の算出を試みた次第です。

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