4. 草本植物
高木—亜高木—低木に続いて、丹沢とその周辺に残る常緑広葉樹林(ヤブツバキクラス域)の《草本》について。まずは前回同様、神奈川県の代表例と丹沢に分布する3種類の群集をまとめた植生一覧、そして次に、今も潜在自然植生が残る丹沢周辺の5つの寺社林の植生一覧を見てみましょう。
上表の左端の代表例とは、神奈川県下の常緑広葉樹林で一般的に確認できる《草本植物》を一覧にしたものですが、この代表例に較べると、実際の丹沢の群集における《草本植物》の退行が顕著であることが分かります。
サカキ—ウラジロガシ群集を除いて《草本植物》は空欄になっており、その林床植生の状況が危ぶまれます。
寺社林も《草本植物》の植生は危機的な状況にあるようです。《低木》の植生レベルも劣化しているのが確認されている日向薬師や大山寺の《草本植物》は空欄になっており、人為的な干渉に加えて、ヒトの観賞に訴えるための伐採などの管理過多が続くと、潜在植生としての多層群落を維持することが困難になって来るようです。