わたし個人の必要から学習を目的にノートをとるようなつもりで、もしも他人が覗いたりするとウンザリするようなことを延々と続けてきたこのシリーズも今回でようやく終りそうです。最終回は森の《土壌保全》について。県の広葉樹林整備マニュアルから重要と思われるポイントの紹介になります。
《土壌保全》について、これまで学習したことといえばマウンドという植栽時のドーム状の盛り土の作り方や斜面でのマウンド保全の工夫ぐらいでしょうか。(下図はかつて私の備忘録に掲載したもの)
県の整備マニュアルには、《土壌保全》のより具体的な対策と細かな施工例が列挙されています。さっそくノートにとってみましょう。
3. 土壌保全
このマニュアルでは広葉樹林の整備は《林相維持・改良》に始まり、次が《植生保護》。最後に《土壌保全》となっていますが、広葉樹林整備の目的が水源林の保護=高い水源涵養機能を持つ森林を作ることにあり、とりわけ雨水の浸透をスムーズに行う土壌へと整備することが不可欠であることを考えると、最後の《土壌保全》は最も重要な分野でもあるようです。マニュアルには、まず基本的な《土壌保全》の考え方が述べられているので、さっそく引用してみます。
このように、森林の生態系を根底から支えている土壌環境の観点から《土壌保全》の重要性を説き、土壌劣化の主な原因を3つに整理しています。なかでも、雨水は土壌の侵食と浸透という相反する二重の観点から重要となり、雨水の浸透能の差異を下記のような図(マニュアルから模写)で説明しています。
また、図は省略しますが、地上の被覆状態の違いによって起こる《土砂流出量の違い》も数字で示されていて、同じ雨量でも森林では2tの土砂流出の場合、耕地だと15t、植生が劣化してしまった荒廃地になると実に森林の150倍にもなる307tもの土砂が流れ出してしまうことになるとされています。
次に《土壌保全》の柱となる2つの対策とその留意点を見てみましょう。
また、土砂の侵食や流出の写真が事例として掲載されており、大変参考にもなることから、ここで転載しておきます。
次に土壌保全のために県が実施・推奨する実際の施工事例の紹介に移ります。植栽と林床環境、土壌侵食の状態などによって、多彩な施工法を採用しているのがわかります。
4. 事業検証
これまで《林相維持・改良》→《植生保護》→《土壌保全》と広葉樹林整備の一連のプロセスを見てきましたが、最後に事業効果の検証という項目が残されています。主に整備後の経過をモニタリングすることにより、それぞれの事業効果を科学的に算出するというものです。さっそく、その目的と手順、地点設定の方法を紹介することにします。
以上、図表はすべて『神奈川県広葉樹林整備マニュアル』からの引用でした。