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ふるさとの木によるふるさとの森づくり(1)

今日のタイトルは、《横浜国立大学学術情報リポジトリ》のwebサイトに置かれている宮脇昭さん他二名の方の署名がある「報文(聞き慣れない単語ですが、研究者の報告文やレポート、調査報告書などの意味があるそうです)」から持ってきたものです。この《ふるさとの木によるふるさとの森づくり》というレポートは潜在自然植生による森林生態系の再生法(宮脇方式による環境保全林創造)について、今まで私が目にしたもののなかでも、一番詳しい説明がなされており、イラスト付きでわかりやすく潜在自然植生の森の作り方を紹介した、極めて実践的なコンテンツのように思われます。さっそく、その概要に触れてみたいと思います。最初に全体構成がわかる目次から。なお、レポートには熱帯樹林帯での植樹手法も含まれていますが、この部分はここでは割愛させていただきます。

目次:

1.地球環境問題と環境植林
2.宮脇方式の沿革
3.従来の植林との相違
4.手法
5.具体的事例
6.ポット苗の生産と植栽法
a.ポット苗の生産
b.ポット苗の植栽方法

概要:

1.地球環境問題と環境植林

このレポートは1970年以降、日本国内で300以上の事例を持つ宮脇方式による緑の保全・再生を目指しての環境保全林づくりについて紹介したものである。

2.宮脇方式の沿革

宮脇方式とは、潜在自然植生の概念と日本固有の「鎮守の森」思想を統合した、その土地固有の植生である構成樹種を使ったホンモノの森林生態系を再生することである。この再生手法の特長は、二次的遷移による森の回復には200~500年を要するのに対して、その1/10ほどの時間で再生が可能だというところにある。

3.従来の植林との相違

01)スギ、ヒノキなどの山を生産手段とする従来の商業植林では、林床の劣化とそれに伴う生態系、とりわけ生物多様性が損なわれる傾向が著しい。これに対して宮脇方式による環境保全林づくりは、日本古来からの「鎮守の森」に習い、その土地本来の潜在自然植生を調べ、高木樹種を主木にした多層群落を構成する植林を行ない、鎮守の森と同様の豊かなホンモノの森を再生することにある。

02)また、樹種選定でも際立った特長を備えている。その土地特有の自然林である複数の高木構成種の多種混植することである。その際、根群の発達した幼苗を密植するため、一年後には立地保全に寄与し、土壌小動物群集の発達も含めて、生態系を確実かつ早期に回復できる。

以下に続く4.手法/5.具体的事例/6.ポット苗の生産と植栽法は、これから数回にわけての紹介になります。

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