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丹沢の植生は30タイプ(3.植林・人工草地)

3連続講座《丹沢の植生は30タイプ》最終回の第三回目は今日では丹沢の森の多くを占めている植林および人工草地について丹沢大山総合調査学術報告書(2007年)に沿って見ていきたいと思います。

3.植林および人工草地

19)
夏緑広葉樹植林
ケヤキ植林(アブラチャン-ケヤキ群集)

東丹沢エリアの大洞には、 夏緑広葉樹であるケヤキの植林がみられる。 植生高は約 25mで植栽されたケヤキが強く優占し、その他エゾエノキ、ミズキ等を混生する。林床はシカの食害の影響が大きく、 シカの非嗜好性植物であるフジテンニンソウ、マツカゼソウが優占し、その他コチヂミザサ、ヤブレガサ、 エイザンスミレ、ムカゴイラクサ、イヌワラビなどが混生している。この植林は神奈川美林 50 選に挙げられている。 西丹沢エリアでは確認されなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p71 )

20)
夏緑広葉樹林
ヤシャブシ植林

東丹沢エリアの塩水川林道沿いには、一部小面積であるが夏緑広葉樹であるヤシャブシの植林がみられる。 植生高は約5 ~ 8mでヤシャブシが優占し、その他フサザクラ、クマシデ、アカシデ等が混生している。 林床にはキブシ、 ヤマグワ、ウツギ、ボタンヅル、ケチヂミザサ、ミツバなどが生育している。ヤシャブシは崩壊地や道路法面などにしばしば植栽される. 西丹沢エリアでは確認されなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p71 )

22)
夏緑広葉樹林
ヤマハンノキ植林

西丹沢エリアの大又沢の林道沿いには、一部小面積であるがヤマハンノキの植林がみられる。植生高は約8mでヤマハンノキが優占し、その他イヌシデやヨグソミネバリ混生している。林床にはアケビ、フジ、ウツギ、サルナシ、オニドコロなどが生育している。ヤマハンノキはやや湿潤な崩壊地にしばしば植栽される。東丹沢エリアでは確認されなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p71 )

21)
夏緑広葉樹林
ヤマウルシ-ヤマボウシ植林

東丹沢エリアの塩水川林道沿いの造成地には一部、ヤマウルシとヤマボウシの混植された植林地がみられる。植生高は約1~2mでヤマウルシまたはヤマボウシが優占し、その他、フサザクラ、ホソエノアザミ、アシボソ、マツカゼソウ、コアカソ、モミジイチゴなどが生育している。ヤマウルシとヤマボウシはシカの食害を防ぐため防護ネットで覆われている。西丹沢エリアではみられなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p71 )

23
常緑針葉樹植林
スギ・ヒノキ植林

東丹沢、西丹沢エリアのヤブツバキクラス域~ブナクラス域の谷部や凹状地斜面の大部分はスギまたはヒノキの植林によって覆われている。スギやヒノキは林業上有用な樹種であることから、古くから本来の生育地を越えて様々な立地に植林されてきた。植生高は約15~23mでスギまたはヒノキが優占している。林床植生は東丹沢エリアではシカ食害が著しく、シカの非嗜好性植物であるテンニンソウやマツカゼソウが目立つ。西丹沢エリアではスズダケが優占する場合が多い。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p72 )

24)
常緑針葉樹植林
スギ・ヒノキ幼齢林

西丹沢エリアでは、夏緑広葉樹林やスギ・ヒノキ植林の伐採後、新たに植林されたスギまたはヒノキの幼齢林が所々に広がっている。植生高は約 0.8~3mでスギまたはヒノキが優占し、その他ススキ、クマイチゴ、ヒヨドリバナ、ボタンヅル、バライチゴ、スズダケなどが生育している。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p72 )

25)
常緑針葉樹植林
アカマツ植林

西丹沢エリアの大又沢沿いの緩斜面には一部小面積であるがアカマツの植林がみられる。植生高は約10~15mでアカマツが優占している。林床にはヤマツツジ、コゴメウツギ、コウヤボウキ、ノササゲ、リョウブ、クロモジ、モミジイチゴなどが生育している。東丹沢エリアでは確認されなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p72 )

29)
人工草地
シロツメクサ-オニウシノケグサ群落

東・西丹沢エリアの道路や林道法面には、オニウシノケグサの播種(吹き付け)による人工草地が小面積であるがみられる。植生高は約0.1~0.5mでオニウシノケグサが優占し、その他クロコヌカグサ、シロツメクサ、スズメノカタビラ、ヤマカモジグサ、クサイなどが生育している。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p72 )

30)
人工草地
ハギ属-コマツナギ属群落

東丹沢エリアの道路法面には、ハギ属やコマツナギ属を主体としたマメ科種子播種による人工草地が小面積であるがみられる。植生高は約1.5mでヤマハギが優占し、その他外来のコマツナギ属、ハギ属、ヨモギ属、メドハギ、シロツメクサなどが生育している。西丹沢エリアでは確認されなかった。(「東・西丹沢の植生比較—丹沢東西モニタリングエリアの植生」p72 )

なお、日本全国の植生の詳細は1/25,000縮尺地図で表された《自然環境保全基礎調査 植生調査 2次メッシュ情報》として見ることができます。丹沢山系は主に以下の区分になります。

上記ウェブサイトを開くと、jpgやpdfファイル形式でデータをダウンロード可能です。
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