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「代々木の杜(もり)の物語~明治神宮」(nhkbs)

前回の備忘録《奇跡の森で初詣》では明治神宮の植生について触れたのですが、まるでこれを待っていたかのように、その二日後の今日のnhkbs3chで「代々木の杜(もり)の物語~明治神宮」が再放送されました。前回の備忘録で取り上げたあるテレビ番組というのは、実はこの番組のことだったのですが、植栽について興味を持ちはじめた二年ほど前の放映時に密かにメモしていたのが、役立ったと言う訳です。

しかし、今日改めてこの番組を見てみると、番組が伝えたかった重要なことを一つメモから除いていたことに気がついてしまいました。おそらく画像を添付することなしには、意味が伝わらないと思ってメモには残さなかったようです。今日はキャプチャ画像を添えながら、代々木の杜が目指したものについて補足しておきます。

キャプチャ04明治神宮に新しい森をつくるにあたって、その考えを書き記した『林苑計画』にはあるべき森のプランを綿密に建てていることがうかがえます。左の図面は「林苑計画」に残された森の林相の変化を上から(Ⅰ)〜(Ⅳ)の第1次林相から第4次林相までの4段階に分けて予測した図面ですが、これは以下のような予測に基づくものです。

(Ⅰ)第1次林相:もともとこの地にあったマツやスギ・ヒノキなどの針葉樹の林を活かして、その間にシイ・カシなどの常緑広葉樹の幼木を植え、神社林としてのカタチをひとまずつくる。
(Ⅱ)第2次林相:50年後、次第に枯れていく針葉樹に替わって成長の早い次世代の常緑広葉樹が大きくなる。
(Ⅲ)第3次林相:100年後にはこれら常緑広葉樹が大部分を占めるようになる。
(Ⅳ)第4次林相:150年後には天然林に近い林相を見せるようになる。

この林相の遷移を植生の専門家は次のように補足し、説明してくれます。

この地に最初からあったアカマツは遷移の初期段階に出て来るパイオニアツリーですが、(他の樹木の成長により太陽の)光が制限されてくると、次第に衰退します。残る樹木は、光の要求度が少なく、土壌にとって重要なものを持っている陰樹である常緑広葉樹です。針葉樹のヒノキも常緑広葉樹と競争すれば必然的に負けてしまうのです。

以上のように、林相の遷移を予想し植栽プランをたてた代々木の杜は、今日ではその予想通りの姿を、つまり第3次林相を私たちの前に見せてくれています。そして、写真のように鳥の眼から眺めた寒い季節でも青々と豊かな林冠を見せる森(写真上)も、地上に降り立ってヒトの目線で見ると、所々にしか陽の光が届いてこない、綺麗な花も、美味しそうな果実もない、林床一面が灌木や草本そして落ち葉に覆われた、何やらどこからか、森の精霊がこちらをじっとみているような鬱蒼とした様相(写真下)に変わります。私が考えるあるべき丹沢の森のイメージはこの景色なのです。

明治神宮01
明治神宮
写真はすべてnhkbs「代々木の杜(もり)の物語~明治神宮」(jan07,2015放映)より
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