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教えて!雌雄異株の植樹法

理想的な樹林2s備忘録june29,2015《健全な常緑広葉樹林のカタチ》のなかで、宮脇さんが多層群落の樹木で構成される理想的なシイ・シダ林を紹介した『いのちの森を生む』(日本放送協会 2006年 p59)の該当ページにあるイラスト(模式図)を模写し、掲出しました。マント群落、ソデ群落の草本類などを含めると18種の樹木が直線上に並んだカタチで構成されています。

*右のイラストをクリックすると備忘録june29,2015の《健全な常緑広葉樹林のカタチ》のページが別タブで開きます。

そこで、18種類の樹木を参考図書を開き、一つ一つの写真を見ながら基本的な特長を少しでも覚えて老いた頭の中に入れておこうとメモしていると、雌雄異株のものが幾つか出てきました。雄花と雌花が別株になっているものはイチョウやマツのような裸子植物に限定され、ほとんどの被子植物は両性花をつけるものと思っていたのですが、意外な事実にどうやらまだまだ知識不足のようだとガッカリするのでした。被子植物の約30%は雌雄異株のことです。

上記のシイ・シダ林の模式図の場合、シロダモ、モチノキ、ヒサカキ、ツルウメモドキ、アオキの5種類が雌雄異株になります。では、この5つの場合の植樹法は他と異なるなるのでしょうか。基本的に被子植物は両性花、雌雄同株、雌雄異株の三つに分けられ、いづれの場合も花粉は風媒や虫媒によって運ばれ受粉、果実の熟成→種子の生成へと進みます(種子の散布は風散布、鳥散布、動物散布の3タイプ)。従って雌雄異株の樹木はできるだけお互いに近い場所に雄株・雌株のポット苗を植樹する必要がありますが、これらの場合は、播種して発芽した幼苗や30〜50cmほどに成長したポット苗には雌雄の固有の特長があるのでしょうか。そして私たちはそれを見分けることが出来るのでしょうか。今後の課題になります。

そこで、上に挙げた5種類の雌雄異株について、それぞれの概要を忘備録的にまとめてみます。

シロダモ シロダモ(クスノキ科シロダモ属の常緑高木):葉は互生、花(雌雄異株)は黄色で空きに開き、果実は紅色または黄色の熟す。雌花には退化した雄しべ6個と雌しべがある。

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モチノキ

 モチノキ(モチノキ科の常緑亜高木):雌雄異株。花は4月に開花し、秋には直径10mmほどの大きくて赤い球形の実をつける。モチノキの樹皮から取り持ちを作り、これが和名の由来に。左の葉のイラストはあまりにもザツだが、実際は葉のカタチは細長く5〜8cmほど、葉柄は通常暗色を帯びている。

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 ヒサカキ(ヒサカキ属の常緑亜高木):雌雄異株。春にいち早く花を開き、虫による効率的な花粉媒介を行なわせる。果実はゆっくりと大きくなり、冬に熟す。
※図鑑によっては上記のように、雌雄異株と記されていることもあるが、他の書では「実際には雄花と雌花のほかに両性花があり、個々の株では、これらのどれかだけをつけるものは少ない」とも言われている。

ツルウメモドキ2 ツルウメモドキ(ツル性落葉):雌雄異株。他の樹木にからみ、樹冠近くに実をつける。実は葉が落ちた後でも残り、橙色の目立つ色で遠くからでも確認できる。鳥や獣にとって冬場の貴重な食料となる。

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アオキ アオキ(ミズナ科の常緑低木):雌雄異株。シカの好物としても有名。従ってアオキがある森は、シカがいない場所ということにもなる。端的な陰樹として日陰でも成長する救世主的な存在でもある。

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以上、雌雄異株の樹木の特長らしきものと、かなりいいかげんなスケッチを載せてみました。このなかで、ヒサカキには参考書によって異なった記述があり、結論はペンディングというところでしょうか。

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