ドングリという木はありません(森の作り方02)

木を植えよ!s森の作りかたの第一回《潜在自然植生》の続編です。今回は「森のつくり方 その2 樹苗のつくり方」。いつものように、私の教科書=宮脇昭さんの『木を植えよ!』(新潮選書 2006年)に沿って話を進めることにします。

前回、森をつくるための《潜在自然植生》の主木の選び方の大切さを紹介し、最後は「次はいよいよドングリの採集と苗つくりになります」で終わりました。 そこで今回はそのドングリについてですが、タイトルの「ドングリという木はありません」は宮脇さんの本のP160からそのまま取り出したもの。確かに秋の山道でも近くの 公園でも、歩きながら足下に転がっているドングリを拾い集めてみると、大きさもカタチもまちまちだったりすることから、私はドングリの木の樹齢とか栄養状 態によってこんなにばらつきが出るものなのか?!と不思議に思っていたのですが、宮脇さんが次のように書かれている箇所を読むと納得です。

ドングリという木はありません。ドングリとは、常緑広葉樹のカシ類、落葉広葉樹のナラ類など主にブナ科の木の実でかたい皮を持つ種子(堅果)のことで、日本国内ではおよそ十九種の樹に付きます。(『木を植えよ!』p160)

このことを頭に入れて、次に基本となる針葉樹と広葉樹の苗の作り方の違いをまず、押さえておきましょう。

  • スギ、ヒノキ、カラマツ、クロマツなどの針葉樹や、育ちが早い早生樹ハンノキ、ヤシャブシ、ポプラなどの浅根性のものは、種子を苗圃に直播きして育てた裸苗でも根付きます。
  • ヤナギなどは、枝を切って土に挿す「挿し木」でも育つそうです。
  • 照葉樹は深根性・直根性のため、裸苗では移植が難しく、プラスチック製のポットなどの中で根群が十分発達するまで苗を育てる容器栽培になります。これを移植することで、確実に活着させることができます。

そして、いよいよ苗つくりの作業が以下の4つの順序でドングリ拾いから始まります。

  1. 選んだ常緑の主木の実、ドングリは植樹地のできるだけ近くで採取します。
  2. ドングリの中にはムシが入っている場合が多いそうです。なので、虫を窒息させるために約30時間水に浸します。
  3. 水に浸し終えたドングリを苗圃またはポットに蒔きます。8月はじめ播種すると翌月の9月末には発芽するそうです。
  4. ポットに植えられた苗は、一年半〜二年で容器内に根が充満し、地上部が三十〜五十センチのしっかりしたものに育ちます。

以上の作業によりポット苗が成長すると、次は植樹の作業に入ります。

と、簡単に紹介してしまいましたが、実際には多くの作業やきめ細かな留意点を一つ一つクリアしながら進めていくことになります。『木を植えよ!』ではポッ ト苗のつくり方について、イメージしやすく理解しやすい多くの写真(森をつくる 第一回《潜在自然植生》に掲載しました)を付けながら、順を追っての説明がなされています。多くの人におススメしたい書籍です。

ここで参考までに紹介しておきたい見てるだけで楽しい図鑑があります。ずいぶん昔にイラストレイションの勉強のためと思って買っていた『野外探検大図鑑』(小学館 1993年)です。
この図鑑をめくっていると、樹種別に並べたドングリのページを発見しました。それぞれ、葉のカタチと堅果(実の部分)、そしてお椀のようなカタチをした殻斗の綺麗なイラストが3つセットになって全部で18種類のドングリが掲載されています。丹沢の800メートル以下帯で見ることができるスダジイなどの常緑広葉樹も載っています。
これからはドングリの見分けがしっかりできるように、このページをコピーして持ち歩くようにします。
ドングリ

(『野外探検大図鑑』p144-145およびp146-147)

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