机上の空論=大山植樹事業試論の3回目は、前回で導き出した東丹沢の《サカキ—ウラジロガシ群集》の多層群落を構成する樹種それぞれのポット苗の作り方、育て方を考えてみることにします。これらの群落は以下の通り。
- 高木 :ウラジロガシ、アカガシ、アラカシ
- 亜高木:シキミ、ヒイラギ、ヤブツバキ
- 低木 :アセビ、テイカカズラ、サカキ
- 草本 :ヤマイタチシダ
これらの群集を使用する妥当性は、例えば《丹沢山塊の植物調査報告 林業試験場研究報告第133 号》というレポートにも自然植生としてのウラジロガシ、アカガシ、アラカシの記述がなされていることでも間違いないと思われます。
丹沢山塊で見られる常緑広葉樹林は大山や世附の一部に見られ,組成の主なるものはカシ類で,アラカシ,アカガシ,ツクパネガシ,ウラジロガシなどがその主 なるものである。大山や世附などには部分的にカシ類が純林状態をなしているところも見られるが,その他の所ではモミなどの森林中に点生している程度であ る。大山の海抜500-600mのところには小面積ながらアカガシやウラジロガシの大木が比較的多く生じ,それとモミ,イロハモミク,イヌジデなどの老大木と混生している箇所がある。これらが丹沢山塊中の最大のカシ林と称すべきものと思われる。カシ類のほか常緑広葉樹林を形成している樹種はスダジイ,タプノキ,ヤプニッケイ,シロダ モ,カゴノキ,シキミなどにすぎない。(『丹沢山塊の植物調査報告 林業試験場研究報告第133 号』p5-6)
(大山地域で植樹事業を試みる(4)に続く)