近頃、県など全国の地方自治体で進められている「森づくり事業」とは一体どういう性格のどういう内容のものなのでしょうか。丹沢の森をビジネス的な手法で再生を図ろうとする私にとって、地方の自治体が実施している「森づくり事業」の予算とその中身は大変気になるものです。どの程度の金額でどのような事業内容なのか、そのコストとパフォーマンスの関係を丹沢の森の再生に参考にしたいと思います。
「森づくり事業」の多くは県単位で制度化した県民税を財源とするものですが、今日の備忘録はわかりやすく親切なページ構成でこの事業の全体を紹介してくれる構成の広島県のウェブサイトを例にとって、全体像を見てみましょう。まず最初に《ひろしまの森づくり事業》のコンセプトページから。
- 広島県では、平成19年度から「ひろしまの森づくり県民税」を創設して、県民共有の財産である森林を、地域住民・ボランティア団体・企業などの多様な主体が中心となって、県民全体で守り・育てる「ひろしまの森づくり事業」に取組んでいる。
- 当初は平成23年度までの5年間を課税期間としていたがさらに5年間の延長が決定。
- 平成24年度以降は事業内容の見直しを行い、その内容を新たな『ひろしまの森づくり事業に関する推進方針』として策定。
- 今後は、この新たな推進方針に基づいて、県民参加の森づくりを一層推進し、県民生活に安心・潤いをもたらす森林の公益的機能の維持・発揮を図るようにする。
このように、所有者だけでは維持できなくなった森林を、県民が心身ともに豊かな暮らしを享受できる環境の実現のために、多様な主体による継続した森林の整備・管理を行うものであるとし1)人工林対策 2)里山林対策 3)県民意識の醸成という三つの基本となる柱を挙げて森の再生を試みています。それでは次に1)人工林対策の事業内容を具体的に見ていきましょう。
人工林対策は環境貢献林整備事業のなかに、手入れ不足の人工林の再生施策としてあり、森林資源の利用促進事業のなかにも、人工林対策として木質バイオマス等利用促進が掲げられていますが、その概要について次のように解説しています。
『人工林対策』としては、スギ、ヒノキなどの人工林(約14万ha)のうち、手入れがなされず放置された森林(約6万ha)を対象に、県が県内全体の状況を踏まえて市町に補助し、健全な人工林や針広混交林への誘導のための手入れ(間伐)を実施します。具体的には、人家などの保全すべき対象に近い森林や災害の危険性の高い渓流の森林など、県民の生活環境に与える影響の高いところから、整備の緊急度を勘案しながら、計画的に整備を行います。また、県産材の需給増を図ることにより森林整備と資源利用のサイクルが形成されることで、人工林の適正な管理が広がっていく取組を進めます。
そこで知りたいのは「放置された人工林を針広混交林への誘導のための手入れ(間伐)を実施」とありますが、間伐の状態で止まっているのか、混交林への誘導まで進んでいるのか、実際のプロセスを平成19年度から今日までの事業実績を追いかけてみます。
(この稿続く)