前回の備忘録では《潜在自然植生》の森をA4×1枚のプレゼン用ペーパーにまとめたものを作ってみました。まったくの一般の人に向けてのものですが、そのまとめ方がなかなか難しく、ついでに、カタログみたいなものを試みてみるのも、今後ムダにはならないはずだと思い、せっかくだから、少し考えてみることにしました。このカタログも一般の顧客向けのものです。
1. 《潜在自然植生》の森のカタログ構成を考える
はじめに、《潜在自然植生》の森の概要とそのメリットをPRするために作るこのカタログ全体をどういうストリーで展開すべきか?をおおまかに考えてみましょう。
まずは《潜在自然植生》の森とは何か?他とはどう違うのか?その定義付けから始めます。次に今日の日本における《潜在自然植生》の森はどうなっているのか?森の推移と現状分析を試みることで、森の課題を明らかにしてみたいと思います。最後に特長を列記し、そこから生まれるメリットに落とし込むことで、《潜在自然植生》の森の美しいカタチと普遍性を訴えることができれば、成功です。
つまり、定義 → 現状分析 → 課題 → 特長 → メリットの5部構成になります。
2. 5部構成の中身に入る、その前に《潜在自然植生》の森のスローガンを作る
《潜在自然植生》の森について細かいことまで語る前に、この森を一言で表現する=スローガンを開発してみましょう。このスローガンは誰もが知っている認知度の高い商品やサービスに付ける必要はありませんが、新発売の商品やサービスの場合、顧客にその良さを一言で伝えるために、商品名・サービス名の傍に置くことがよくあります。例えば、下の広告やカタログも指差しの部分でスローガンを置いて同様の工夫をしています。
では、宮脇さんは著書の中で《潜在自然植生》の森のことを一言または一行の短いフレーズではどのように書かれているのでしょうか。宮脇さんの著書『木を植えよ!』(新潮選書 2006年)のなかからピックアップしてみました。すると以下のような「自然の森」というキーワードを用いた表現でほぼ統一されているようですが、前回の備忘録《潜在自然植生の森をA4×1枚で表す》でも触れたように、人工林に対立する概念として《潜在自然植生》の森を訴求する意味では、「自然の森」よりも「天然の森」の方がインパクトが強いように思われます。
- 本来の自然の森(p24)
- 自然の森に限りなく近い(p49)
- 豊かな自然の森(p58)
- 自然の森のなごり(p111)
次に《潜在自然植生》の森を作り育てることの価値はどこにあるのでしょうか。これは『木を植えよ!』(新潮選書 2006年)にも数多くの多分野にまたがる言及があり、私たち人間が受けるメリットも一言では言い表せないほどですが、これも前回の備忘録《潜在自然植生の森をA4×1枚で表す》のなかで、思いつくままに9項目をリストアップ。さらにこれらを5つにまとめたものが下の「人工林と比較した《天然の森》の特長」と題した一覧表です。
上記5項目は優先度が高いと思われる順に並べてみたのですが、第一に「天然の森は未来まで持続する」、第二に「天然の森は豊かな生態系を育んでくれる」。この二つの内容を一つのフレーズにマトメてみると、こうなります。
念のために上のバリエーションですが、別案でこんなカンジはどうでしょう。
上と下では、やっぱり、上の方が読みやすいでしょうか。読みやすいようですね。
(その2に続く)